胃がんグループ代表挨拶

JCOG胃がんグループ代表 寺島雅典

 JCOG胃がんグループは、1984年から活動が開始されたJCOGのなかでも歴史ある研究グループです。初めは胃がん外科グループとして発足し、主に術後補助化学療法の研究を行ってきましたが、治療の多様化に伴い2011年からは旧消化器癌内科グループの一部と合併し、胃がんグループとして幅広い分野で研究を行っています。

 胃がんの治療は、早期胃癌に対する内視鏡的切除から、進行胃がんに対する全身化学療法まで非常に多岐にわたっております。治療法も施設によって異なる場合もあり、いわゆる標準治療の確立は極めて重要な課題です。標準治療は"並み"の治療ではなく、その時点で考えられる"最善"の治療です。その確立には無作為化比較試験などによるエビデンス(根拠)の確立が必要となります。我々の使命は常により良い"最善"の治療を確立する事であり、そのためにいくつかの臨床試験を実施しています。

 現在、JCOG胃がんグループでは、消化器内視鏡グループとの共同による高齢者の早期胃癌に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)に関する研究、腹腔鏡下胃切除の適応拡大に関する研究、ロボット支援下胃切除術に関する研究、開腹手術における切除範囲縮小に関する研究、術前化学療法に関する研究、高齢者に対する術後補助化学療法の研究、神経内分泌腫瘍に対する化学療法の研究などを行っております。このような幅広い範囲の研究を行うために、JCOG胃がんグループの参加施設には、内視鏡、手術(腹腔鏡、ロボットを含む)、化学療法のそれぞれの専門家が在籍しております。これらの施設では、臨床試験ばかりでなく日常診療でも、質の高い医療を実施する事が可能となっています。

胃がんの診療・研究に関しては、長く日本が世界をリードしてきました。その一方で、欧米と我が国においては胃がんの生物学的特性もやや異なる事が解明されてきました。現在、胃がんグループでは欧州の多施設共同臨床研究グループであるEuropean Organization of Research and Treatment for Cancer (EORTC)と共同でいくつかの研究を立案しています。このような取り組みを通じて、引き続きわが国が胃がんの診療・研究において世界をリードしていけるように努力したいと思います。

また、昨今患者さんの視点にたって臨床試験を企画・立案するために、患者・市民参画(Patient and Public Involvement: PPI)が重要視されております。JCOG全体での取り組みに倣って、胃がんグループでも今後積極的にPPIを推進していく予定です。将来的には臨床試験の立案にも患者さんの代表が参加できるような取り組みも行っていきたいと考えております。


JCOG胃がんグループ代表

                                       静岡県立静岡がんセンター 副院長

                                      寺島 雅典


JCOG 胃がんグループ
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